恐怖症は…、これは夢? それとも現実?

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恐怖症は?これは夢?それとも現実?

 
4月1日からの社会人生活。4月は、オリエンテーションと夜勤の製造実習で乗り切ることができた。ところが、5月13日の「OB会」の案内が届く。またブルーな気分に逆戻りする。そしてOB会当日、料亭に到着し、一人用のテーブルが部屋に並べてあることに凍り付く。居酒屋と違い、食べる量が相手に判ってしまうから。給食のときから、それがプレッシャーにもなっていた。間もなくOB会がスタートするが、まだ身体に異変が起きていない。

いよいよ開始時間を迎える。遠方から参加する1人を除き、全員が集まった。
仲居さんが、「始めてよろしいですか?」との声。仲居さんがビール瓶を部屋に運んでくる。

そんなときだった!!!

まったく想定していない、信じられないことが起きる!

「ぐーーーっ」

私のお腹からの音。

これは空腹を感じたときの、お腹からの音!

「(えっ、お腹が鳴った…。ウソ…)」

これは夢? 現実? 信じられない! 

いつもなら身体に異変が起きているタイミング!

お腹空いた! 早く食べたい!
そんな思いが芽生えている!

全員のグラスにビールが注がれ、乾杯する。
全員がビールを口にし、恒例の拍手が起きる。

「ぐーーーっ」

またお腹が鳴る。

右手に箸を持ち、テーブルに出されたお通しに箸をつける。料理を口に…。
まだ酔いは回っていない…。

「(美味しい!)」

身体は異変を起こさない。というより落ち着いている。力が抜け、リラックスしている感じ。

「(これなんだ! これが体で覚えた効果なんだ!)」。自己催眠術の興奮!

心の中を覆っていた暗雲がパーッと消え、胸にスーッと心地よい風がなびく。
13年間の苦しみから、これで開放された!?

ビールがどんどん進む。
一人一人に運ばれてくる料理も爽やかな気持ちで次々口に運ぶ。

「(本当に美味しい! こんなことがあるなって!)」 涙がでそうになる。こらえる。

OBとの会話はまったく覚えていない。記憶にない。そんなことより、13年振りに初対面の方たちと外食を楽しんでいる私。失礼であるが、勝手ながらそのOB会は、私が主役。もちろん私の心の中だけの主役!

余談だが、OB会の中で覚えている唯一の会話は、仲居さんとの会話。

「あら、鮎、キレイに食べていただきましたね。鮎をこんなにキレイに召し上がっていただける方はなかなかいませんよ」

「そうなんですか? ありがとうございます!」と仲居さんに頭を下げた。

この会話だけ鮮明に覚えている。食べることに関して褒められたことがないので、素直に嬉しかったんだと思う。

次回は「恐怖症克服は夢? 揺れ動く気持ち…」をお伝えします。

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