嘔吐恐怖症・パニック障害克服への難題は乗り切れたのか?

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恐怖症克服への難題は乗り切れたのか?

入社2年目。初めてのデート。うれしい反面、不安もよぎる。レストランのようなところでいきなりランチするのは荷が重い私。少しずつ前に進む方法を考え、屋外で、しかも軽めな食事ができるような場所に誘う。それが鈴鹿サーキット。我ながら、Goodアイデア!(かな)

「お腹空いたね」

「売店で、何か買って、あそこで食べようか?」と屋外にあるテーブルを指す。

売店で、ハンバーガーセットのようなプレートを2人分買う。
少し不安もあったが、屋外で軽食なので大丈夫との自信もある。彼女の、飾らない気楽な性格も助けになる。

テーブルにプレートを置く。空も晴れ渡って、すがすがしい。

トレーニングしてきたイメージと似ている場面。
囲まれた建屋でなくオープンな屋外ということもあり、変な緊張感もなく、身体に異変が起きることもない。

穏やかな心のまま、ハンバーガーを口にする。

一口食べる。
喉もすんなり、食べ物を通してくれる。手足の先がシビれることもない。口の中がカラカラになることもない。心臓がバクバク鼓動することもない…。

屋外とはいえ、小さな一歩を踏み出し、小さな成功体験を得る。
楽しく会話しながら、食べ終え、トレーを片付けにゴミ箱に向かう私。心の中でガッツポーズ!「(できた! こういう日を13年待ち続けていたんだ! もう吐くこと、食事を怖がらなくてもいいんだ!)」

デートしている喜びに、女性と食事できた喜びが加わり、笑顔だらけの1日。

「(神さまはいるんだ! あきらめかけていたけど、あきらめなくて本当によかった! 僕にこんな日が訪れるなんて! 本当に嬉しい! ありがとう!)」と感謝ばかり。

それから、その彼女とちょくちょく会う。

ドライブに行き、パーキングエリア(今でいう“道の駅”)で食事する、喫茶店で軽食を食べる…。

一歩ずつであるが、女性と食事をする成功体験を積む。怖さは感じない。
そして、レストランで食事もできるようになる。一緒に出掛けて、食事するのが当たり前に。

会社仲間と焼肉を食べに行く私。男女数名でファミリーレストランに出かけ食事を楽しむ私…。相変わらず会社の先輩と飲みに出かける私。

会社員になって2年目、1989年が終わろうとしているが、1988年の2月に自己催眠術を習い始めてから、もう1年と10ヵ月になる。1988年2月から3月の2ヵ月で、自己催眠術を教えていただき、半信半疑ながらもトレーニングを続けた。習い始めて3ヵ月後の5月のOB会で、その驚きの効果を実感。以来、職場の先輩と飲み会も喜んで受けられるようになり、友人とのドライブを楽しみ、そして女性と対面で食事ができるように。

欲しかった「ごく普通の生活」それをやっと手にすることができた!

吐く怖さ、食事する怖さ、恐怖に苦しみ続けたあの13年はいったい何だったんだろう?
でも、そんなことはもういい。
やっと普通に生活できる! どこにでも行ける! 行動範囲が広がる! いろいろな経験ができる! 

その嬉しさ、喜びを噛みしめる日々…。

しかし、欲はここで終わらない。
何かを得ると、次の何かを得ようとするものだから。

次回は「恐怖症克服と次なる野望」をお伝えします。

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