嘔吐恐怖症克服への糸口になる出会い

  • LINEで送る
嘔吐恐怖症克服への糸口

 
吐くことへの恐怖、人と食事をする恐怖。何とか慣れた仲間と居酒屋へ行くことができるようになったものの、恐怖症によって、普通の生活すら影響が出てしまう・・・。そして大学2年のある日。イタリアンレストランで、高校2年と同じ失態が発生し、親友を失う羽目に。

何とかしないと!
考えても、どうしていいのか? まったくわからない、まったく進まない…。

大学生活で、お酒を飲み、酔えば不安や恐怖が引いて、リラックスできると知ったが、慣れた仲間となら…と限定される。そんな仲間と外で食べるとすれば居酒屋に限定されていた。

お酒を飲んで、酔いがまわってくると、不安や恐怖が引いてくることが、何かヒントにならないのか?

ヒントを探すしかない。
ヒントになるような本がないだろうか?

一人、新宿の紀伊國屋書店へ向かう。
(今ならAmazonで早く見つけられるでしょうが…)

さすが、紀伊國屋書店! カテゴリー、品ぞろえが豊富!

医学関係の書籍を探すが、専門的すぎてよく解らない。素人でも解りやすく解説してある書籍はほとんどない。ましてや、恐怖症に関するタイトルなど見つからない。ノイローゼなどの書籍はあるが、吐くこと、食事への恐怖に関する書籍は見つからない。

そんなとき、あるタイトルが目に留まる。

『自己催眠術』

小学6年のときに観たTV番組で、出演していた催眠術師の話が頭に残っていた。
『催眠術は、ノイローゼの治療などにも使います…』

「(それと同じ?)」

著者は、東京大学講師の方で、精神神経学の先生。

「(東大の先生が書いているから信じられる内容だよな…)」

本を手に取り、パラパラ立ち読みすると、私にとって、驚く記述が目に飛び込んできた。

『私が勤めている東大病院の神経科には、劣等感・ノイローゼ・自信喪失・対人恐怖・不眠症などの悩みを訴えてくるかたが、急激に増えている。これらの病気は、いわば「心の病気」であって、現代人共通の不安・劣等感から発したものであることが多い。その不安・劣等感を治療するために、薬物療法、精神療法などを行っているが、そのなかの1つに催眠療法がある』

『催眠療法は、医師の指導によらなくては、きわめて危険である。・・・(略)・・・ そこで、わざわざ病院まで行かなくてもよい、もっとも簡単で安全な方法が、近年になって、急速に研究され、理論化されてきた。それが自己催眠である。そのなかでも、1932年、ベルリン大学のシュルツ博士が発表した「自律訓練法」は、もっともすぐれている。この自己催眠の特長は、他人の力を借りずに、自分自身の暗示で催眠をかけられる点にある。・・・(略)・・・ 今までの「信念の魔術」的なものとはちがい、まず体に生理的変化を起こしてから、心の病気をなおしていくのである』

さらに、

『恐怖症というのがある。赤面恐怖、対人恐怖は、そのよい例である。いずれも、不安感が「顔が赤くなる」ことや「人に会うこと」に向けられたノイローゼで、強迫神経症の一種である。よく考えればばかばかしい、くだらないと思っても、どうしても症状が出ると、それにこだわって、また不安になる。なんとか直したい、直したいと思うとよけい恐怖心が強くなるものである。』

『自律訓練法は、自己暗示によって「ああしよう」、「こうしよう」と、みずからの心に言いきかす、いわゆる意志鍛錬法とは、まったく逆の性格をもっている。自律訓練法は一言でいえば、比較的暗示にかかりやすい「体の一部」に催眠をかけることにより、体全体と心を、自分で調節する技術である』
-『自己催眠 劣等感からの解放・6つの方法』(平井富雄 光文社)から抜粋 –
 
 
冒頭の30ページも読まないうちに、

自分が抱えている問題そのものじゃないか!
これは大きなヒントになる! 
昔、TVで催眠術師が言っていたことは事実なんだ!こういった治療が実際にあるんだ!

興奮しながら、そして、わずかながらも心に光が射した気持ちで、急いでレジに向かう。紙のブックカバーをつけられた『自己催眠術』を、右手で持ち、割れ物をもっているかのように、体に押さえつけ帰路に。

「(早く知りたい! 早く読みたい!)

わずかながらも希望を感じていた。
「(恐怖症克服の糸口になってほしい!)」

次回は、「恐怖症克服へ手応え! 驚きの記述!」をお話しします。

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*