アメリカの有名なイタリアンレストランにて、あわや身体に異変が起きそうだったが、1,2分集中して自己催眠術を使い、ピンチから脱した私。
それからはどうなっているのか?
アメリカの有名なイタリアンレストランにて、あわや身体に異変が起きそうだったが、1,2分集中して自己催眠術を使い、ピンチから脱した私。
それからはどうなっているのか?
アメリカ留学を経験した会社の新人A君に出会い、アメリカ留学の方法を聞いた。恐怖症を克服し、普通の生活を送っていた私に、次なる欲望が芽生える。アメリカを考えるように。
A君から話を聞いた次の休日、名古屋の三省堂書店に電車で向かう。A君から紹介があった本を手に入れるために。
大学時代に催眠術に関する本を探しに、新宿にある紀伊國屋書店に行ったことを思い出す。探す分野、気持ちは違うけど、当時を懐かしく感じる。今は、萎縮していた当時とは比べものならない明るい気分。
「(あった!)」
彼女と食事をする。その成功体験を積む。以前のような怖さはもう感じない。一緒に出掛けて、食事するのが当たり前に。恐怖症を完全に克服できたかは判らないが、同僚も、女性とも食事に出かけられる。普通の生活を手にすることができた。
とはいうものの、自己催眠術によって、過去の記憶が薄れたわけではない。
先輩たちから誘われる飲み会、以前のような恐怖はない。普通に飲み会に行ける。さらに自信が増していく…。
少しずつだが、心に光が射しこみ、その光が確実に広がっている! それに気づく。
だが、まだ恐怖症を克服できたとは言えない。
それは、女性と2人で食事をした経験がない!
女性と2人で、居酒屋ではなく、フォーマルなレストランで食事をする…。自己催眠術でトレーニングしてきたその場面。それが当たり前にできて、初めて克服したと言えるんっじゃないか…、そう感じていた。
先輩との飲み会をはじめ、同期の親友とドライブにも行けるようになった私。
男同士なら、遠出もできる、外食もできるようになっていた。半年前には、まったく想像すらできないこと。できなかった時代に比べて、スゴイ飛躍にもかかわらず、人は欲深い生き物。1つのハードルを越えると、次のハードルに向かっていく…。
同僚とは、車で買い物に出かけたり、金沢へ出かけたり、動けるようになったものの、女性と出掛ける、女性と食事する経験がまったくない。これをクリアしないと恐怖症を克服したと言えないと、自分でハードルを高くする。
自己催眠のトレーニングは続けていたものの、6月くらいから毎日ではなく、週に1、2回にまで減った。改善している実感を得ながらも、ルーズな私。どうしたものか…。
こうしているうちに、入社2年目に入る。
1年前はどん底だった私が、1年を迎えられるとは…。当時、恐怖におののき、想像すらできなかった“ごく普通の生活”を手に入れつつある。
自己催眠術に感謝。平井富雄さんに感謝。教えて頂いたS先生に感謝。当時の自分のふがいなさ、自己催眠術のスゴさを思い起こしながら…。よくここまで来れたものだ!
そんなとき、新入社員が配属される。
3人の女性が配属されてきた。5月になったところで、そのうちの2名の女性と、親友と私の4人で、テニスをすしようかという話が浮上する。女性に慣れていない私は食事することに抵抗を感じていた。女性の前で、恐怖症が現れるのか…。
入社2年目。初めてのデート。うれしい反面、不安もよぎる。レストランのようなところでいきなりランチするのは荷が重い私。少しずつ前に進む方法を考え、屋外で、しかも軽めな食事ができるような場所に誘う。それが鈴鹿サーキット。我ながら、Goodアイデア!(かな)
「お腹空いたね」
「売店で、何か買って、あそこで食べようか?」と屋外にあるテーブルを指す。
売店で、ハンバーガーセットのようなプレートを2人分買う。
少し不安もあったが、屋外で軽食なので大丈夫との自信もある。彼女の、飾らない気楽な性格も助けになる。
テーブルにプレートを置く。空も晴れ渡って、すがすがしい。
入社2年目。女性がいる初の食事に向けてサボっていたトレーニングを再開。当日、男女2名の4人ではあったが、食事を乗り切れた私。残るは女性と2人きりでフォーマルなレストランで楽しく食事ができること…。恐怖症克服に向けて一番恐怖を感じる場面でも、食事ができるイメージを創ってトレーニングをしてきた。
それが最大の課題。
これができるようになって、初めて嘔吐恐怖症を克服したといえる!
5月13日の「OB会」で、13年振りに面識ない方々との外食をリラックスして過ごせた。家に帰り、爽やかな余韻に浸りながら、苦しんできた過去を振り返る。次の朝、目が覚め、シラフになると「昨日は、たまたま…」という自分が現れる。吐くことへの怖さはまだ消えないが、落ち着いている自分もいる。
OB会が終わった次の週の話。配属された部署の先輩から、週末の飲み会の誘い。
「今週末、飲みに行こうか!」
5月13日の「OB会」が近づくにつれ、ビビりながらも、落ち着いている自分がいた。高校、大学のときも似たような状況があったが、友人と食べる直前に身体に異変が起きてしまい、玉砕。OB会も同じように開始直前に異変がおきるんだろう…と決めつける。しかしOB会がスタートすると「ぐーーーっ」とお腹が空腹を表現する。身体に異変はまったく起きず、料理もどんどん口に。13年振りに面識ない方々との外食をリラックスして過ごせる。
自信が芽生えたOB会が終わる。
爽やかルンルン気分で家に到着。
素晴らしい1日。
「(この日を13年間、この日を待っていたんだ!)」布団の上で、“大”の字になって横たわる。自然に笑みが生まれる。
白い天井を見つめながら、この3ヵ月を回顧。
4月1日からの社会人生活。4月は、オリエンテーションと夜勤の製造実習で乗り切ることができた。ところが、5月13日の「OB会」の案内が届く。またブルーな気分に逆戻りする。そしてOB会当日、料亭に到着し、一人用のテーブルが部屋に並べてあることに凍り付く。居酒屋と違い、食べる量が相手に判ってしまうから。給食のときから、それがプレッシャーにもなっていた。間もなくOB会がスタートするが、まだ身体に異変が起きていない。
いよいよ開始時間を迎える。遠方から参加する1人を除き、全員が集まった。
仲居さんが、「始めてよろしいですか?」との声。仲居さんがビール瓶を部屋に運んでくる。
そんなときだった!!!
まったく想定していない、信じられないことが起きる!
4月1日からの社会人生活。4月4日から5日間のオリエンテーションは昼ご飯が弁当、4月11日から3週間の製造実習は夜勤勤務ということで弁当持参。4月は何とか乗り切れた。実習が2週間ほど経ったところで、本配属先が通達された。営業ではなく設計。これにより東京や大阪への勤務はない。実家から弁当を持って通勤できる。恐怖症の私にとっては想定した通りに。大喜び! ところが、5月13日の「OB会」の案内。またブルーな気分に逆戻り。
OB会開催の通知を受け取った私には不安だらけ。
断りたくても断りづらい行事…。
何か断ることができる正当な理由はないだろうか…。そんなことばかり考える。「(何で、そんな会があるんだよ、放っておいてくれ)」と恨み節。
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