あり得ない理由で、就職先を選んだ私。実家から車で5分ほど通える会社なので、弁当を持っていけば、社員食堂で昼ご飯を食べなくていい、また会社帰りに食事に誘われる機会が減るはず…。少しは安心できるかと思っていた…。
恐怖症の私にとっては絶好の就職先!
車通勤で、田舎なので、東京のように「帰りに一杯どう?」などの誘いもほとんどないはず。ある意味、嘔吐恐怖症の私には優しい条件。
大学4年の10月。就職先が決まったとはいえ、吐くことへの恐怖、外食への恐怖は何も変わらない。自己催眠術は理にかなう方法、しかし、訓練したが、催眠状態がどんな状態なのかが判らず、訓練もとん挫…。
「(あと半年で社会人か…。実家から車で通えるとはいえ、お付き合いは増えるんだろうな。出張もあるだろうし…。怖い!)」
そして、アパートに一人でいるときでも、日常的に身体に異変が起きるようになってしまう。小学6年の給食で苦しんだころと同じ。
ただ、小学6年当時は、保健室へ逃げ込んだり、手で握りつぶしたパンをズボンのポケットに入れて残したり、など、ごまかしができた。社会人になるとそんなごまかしは通用しない。そう考えると、過去経験したことがない最大級の恐怖を感じるようになる。
もうすぐ社会人、付き合いがある、出張もある、食事の機会が増える…と考えるだけで、
気分がドーンと落ちこんでいき、心臓がドキドキしてくる。出口がない狭い場所にどんどん追い詰められていく感じに。手足の先がピリピリしてくる。吐きそうなる。実際、吐き気がして「オエッー」となる(何も出ないが…)。
アパートに一人でいるときでさえ、日常的に身体に異変が起きてくるようになるなんて…。
11月、12月、、、何も変わらない。恐怖に打ちひしがれるだけの毎日。
気持ちがどんどん沈んでいく。恐怖がどんどん増してくる。
何かしないと何も変わらない! と思っても、動けない。
何をすればいいのか? どうしたらいいのか…。
「(内定を断ろうか…。そうすれば気持ちが楽になる!)」
「(でもその後、どうする?)」
そんなことばかり考える。
逃げたいけど、逃げ場がない。
冬休みが終わり、1月中旬…。
もうヤバい! 怖すぎる!
とにかく動け! 動かんと何も変わらん!
重苦しいまま、タウンページを手に取り、ページをゆっくりめくる。
「催眠療法」が腑に落ちているから、それに賭けるしかない!
社会人まであと2ヵ月しかないけど、たった2ヶ月で治るわけないよなっ…。もっと早く動いていけば…。
「(あのとき、東大病院で話を聞いていれば、今ごろ、治っていかかもしれんな…)」…
「(何を、いまさら。逃げたくせに…。ホント情けない…)」 葛藤。
タウンページでは情報がほとんど載っていないから、電話して聞いてみるしかない。
とはいうものの、催眠療法的な方法を教えてくれそうなところは、そんなに載っていない。不安がまた走る。
3,4件電話した。
暴露法など私にはムリな方法、話しを聞いて徐々に改善を目指す方法など、求めているものではなかった。
タウンページ上の候補はそんなに残っていない。
平井富雄さんの著書『自己催眠術』に書いてある、
『わざわざ病院まで行かなくてもよい・・・・』
『自分自身の暗示で・・・・・』
『繰り返し練習すれば効果があらわれはじめるのだ・・・・』
この記述を信じて、
自己催眠術(自律訓練法)を教えてくれるところはないだろうか…。
また次のところに電話する…。
次回は、「大学4年の2月、ワラをもつかむ思いで…」についてお話しします。