恐怖症は自然に治る?高校2年のある日曜日!まさか…

  • LINEで送る
恐怖症は自然に治る?

 
小学4年のある日の出来事によって、吐くことを恐れるようになる。小学6年生では給食を残さず食べされられたことで、小さな怖さが大きな恐怖になる。人前で食べることを考えるだけで、身体に異変が起きるようになる。

中学の3年間、高校1年の4年間、吐くことへの怖さは残っていたが、小学6年のように身体に異変が起きることもなく、穏やかな日々を送っていた。とはいうものの、午後の授業で大勢が集まる集会などがある場合は、昼ご飯をほとんど食べず、胃の中をほとんど空にしていた。友人との約束も、ごはん時は避けていた。

他人と食事するような場面を避けていたこともあり、中学に入ってから、あの身体の異変が起きていない。
そして、高校2年のある日曜日のこと…。

受験勉強のため、土曜の午後と日曜日9:00~17:00まで、家から自転車で10分ほどの図書館の学習室を使っていた。自宅は横に鉄工所があり、ガンガン、キンキン、ギーンという音がスゴいので、そのイライラを回避するために図書館を利用する。

日曜の昼は、12:00頃に、自転車で家に帰り、昼ご飯を食べ、12:50くらいにまた図書館に向かう。

ある日曜日。
近所に住む親友が、朝から図書館に来ていた。高校は違うが、私の家から200mくらいのところに彼の家があり、中学では部活も同じだった。それからのお付き合い。僕と違い、彼はとても優秀で、解けない問題をよく図書館で教えてもらっていた。彼は、毎週、図書館に来るわけではないが、その日はたまたま彼も図書館に来ていた。別の学習室で勉強していた。

昼どきになりそうなところで、隣の学習室で勉強していた彼が、僕がいる学習室にやってきて、
「○○と、□□も、今、図書館にいるから、4人で昼ご飯食べに行かない?」

小学6年のときだったら、その話をされた瞬間、心臓がドキドキ、手足の先はピリピリ、口の中がカラカラなど、身体に異変が起きていた。

しかし、食事に誘われても、そんな異変は起きない!

「(まだ吐くことへの怖さはあるけど、体調もいいし、お腹も空いているし、あれから4年以上も身体に異変が起きていないので、もう大丈夫だ!)」

心もいつもと変わらず穏やか。

彼と会うもの久しぶりだったこともあり、

「いいよ」

と誘いを受ける。

4人、自転車を使って、5分ほどにある市の駅前通りに向かう。

「何食べる?」

中華料理に決まり、中華料理屋に着く。以前のように、店からの匂いで気分が悪くなることもない!
大丈夫! イケる!
そう思いながら、店に入る。

「あの席にしよ!」
私がそれとなく、お手洗いに近い席に誘導する。
4席にそれぞれ座る。

店員さんが水を運んでくる。
「注文が決まったら呼んでね」

「オレ、中華飯」
「オレ、中華そば」
「チャーハン」
「・・・」

4人の注文が終わる。

水を一口飲む。心も身体も落ち着いている。家にいるのと同じ。
会話が始まる。

5分ほどしたところで、突然…、、、

身体に異変が起き始める。
気分が悪くなり、喉が硬直する。急に口の中が渇く!

あわてて、目の前のコップを持ち、水をちょっと口にする。

「(ヤバい! あのときと同じ!)」

心臓もドッキン、ドッキンと振動するほどの鼓動、手足の先がピリピリする。頭から血の気が引き、冷や汗がでる。

「(どうしよう! 今さら店を出ると言えない! トイレが直ぐ近くにあるから大丈夫・・・)」

「(何か、店を出るいい理由はないか!)」

焦るばかり!

誰も私の異変に気付かず、楽しそうに会話している。

そんなとき、、、

「はい。お待たせしました。中華飯です」

私の目の前に、中華飯が置かれる。
もう、匂いでダメ。給食のときと同じパニック!

「お先にどうぞ」 と友人。

手先がピリピリとシビれている右手でレンゲを持つ。

「いただきます…」

3人が普通に私の方を見る。
そのとき、ラーメンやチャーハンも運ばれてくる。その匂いがテーブル中にプンプン充満する。

何とか、レンゲに一口分の中華飯をのせる。

喉が硬直し、吐きそうな気分。

レンゲにのっている一口のさらに半分を口に何とか入れる。

「(もうダメ…)」

喉は、口の中にある、一口にも満たない量の中華飯を拒否する。
ゆっくり噛んで、小粒にしても通してくれない。通してくれないどころか、外に出そうとする。ちょっぴり、ちょっぴり、喉に入れる。何とか、口に入れた中華飯が喉を通る。小学6年のパンと口にしたときと同じ…

他の友人は普通に食べ、量が減っていく。

「どうした? 早く食べたら」と友人。

「ごめん、もうお腹いっぱい」この言葉を絞り出すのが精いっぱい。

「えーっ、それだけで! むちゃくちゃ小食! 一口分も食べてないけど!」

まだ右手のレンゲに乗っていた中華飯を、お皿に戻し、レンゲを皿に添える。目の前にある中華飯は、レンゲの先ほどが削られたまま、ほとんど手つかず。

友人が食べ終わるのを静かに待つ。静かではなく、身体は異変を示したまま・・・。

「本当に、これだけでいいの? 時間あるからゆっくり食べなよ」

「いや、もうお腹いっぱい」
何とか、右手でコップを握り、水をほんの少し口に入れ、カラカラになった口の渇きを癒す。

友人3人が食べ終わり、親友がテーブルの片付けを店員さんに頼む。

「これ、お口に合いませんでしたか?」と私の前の中華飯を手に取りながら、お盆の上に載せる。

「すみません。味でなく、私が小食なんで…」

友人3人は、シラけた雰囲気で、黙ったまま。

レジへ向かい、それぞれお金を払い、店を出る。

「ごめん、小食なんで…」

「スゴい、小食・・・」

これ以上、会話も弾まない!
シーンとした気まずい雰囲気のまま、4人、自転車で図書館へ戻る。

図書館に戻ると、自分の席をとってあった机上の筆箱やノートを即座に片づけ、急いで家に帰る。急いで自分の部屋に上がり、布団にもぐる。

「(ヤバい! もう4年以上なのに、恐怖症、治ってへん! これから外では食べれん! 誘われても断ろ!)」

これから、どうやって乗り切ってけばいいんだ!

次回「大学受験、どうやって恐怖症から逃れたのか?」を回顧します。

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*