あと2ヵ月で社会人。その間際の大学4年の1月最終週…。
平井富雄さんの著書『自己催眠術』に書いてある、『わざわざ病院まで行かなくてもよい・・・・』、『自分自身の暗示で・・・・・』、『繰り返し練習すれば効果があらわれはじめるのだ・・・・』
この記述を信じ、崖っぷちの私は、やっと動き出す。
タウンページに載っている候補先に何件か電話する
自己催眠術(自律訓練法)を教えてくれるところはないだろうか…。
これまで電話した3,4件は、求める方法ではなかった。残りの候補先もそんなにない…。
次の候補は、これも心理療法と書いてある西荻窪にあるカウンセリングセンター。
電話を掛ける。受話器を取る音。
「あの、鈴木と申しますが、○○センターですか?」
「はい」と男性の低い声。
「あのー、そちらで自己催眠を教えて頂けるようですが…」と、吐くことが怖く、外食できない悩み、平井富雄さんの本で自己催眠術を知った経緯を伝える。話をしっかり聞いてくれる方。
それから、どんな会話をしたのかはすべて覚えていないが、記憶していることは、
「2ヵ月あれば、習得できるよ。8回のセッションだから、週1回通って、2ヵ月で…」
「(何とかなるぞ!希望の光が見えたかな…)」と思いながらも、
「1ヵ月で習得できませんか?」と焦る私。
「やり方は1ヵ月で覚えられるけど、少しずつ改善していく方法だから、急いで覚えた分、効果が早く出るというものじゃないんですよ」と返答。
「(その通りだよな。そう簡単に治るはずはないよな…)」と、腑に落ちる私。
「2月7日の日曜日から通えば、社会人になる前の3月27日に8回のセッションが終了しますが、どうしますか?」
「お願いします!」。もちろん、即答。
2月7日の第1週の日曜日から毎週日曜日に通うことに決まる。そして3月27日でセッションが終了する。余談だが、住んでいるアパートは、入居したのが2年前の4月1日だったため、運よく3月31日までは、契約更新する必要がない。3月27日のセッションが終わった後の、3月28日か3月29日に退去すればいい。出社日も4月1日だからちょうどいい。
とはいうものの、
「(もっと早く動いていれば、こんなギリギリまで焦ることなかったのに! 早く動いてたら、今ごろ治っていたかもしれかったよな…。 バカだよな)」と自分を責める。
わずかながら希望が見え、しかも2ヵ月で習得できる!
「(オレは、まだツイてる!)」と無理矢理、自分を説得する…。バカな私。
ワラをも掴む思いで、希望が見えたとはいえ、心底から喜んでいなかった。恐怖症が治ったわけではないから。社会人まで2ヵ月というところで、時間的には何とか踏ん張れたが、克服できる保証などない!
解決へ向けて、前に歩き出せたとして、その先に道が続くのか、地獄に落ちるのか…。もし自己催眠術で治らなかったら、もう未来への道は完全にふさがれた状態になる…考えてしまう。
セッションを受ける前から、また違う恐怖が襲ってくる。どこまで神経質!と自虐しながら、2月7日を迎える。
次回は「恐怖症克服へ向けて、命運をかけた日曜日」をお伝えします。