平井富雄さんの『自己催眠術』に書かれているように自己催眠術の訓練を開始する!嘔吐恐怖症克服へ向けて動き出したとはいえ、催眠状態ってどんな状態? 恐怖症克服へ向けて、東大病院へ腑に落ちる方法に違いないけど、その感覚、コツがつかめない!
そして、、、ある行動に。
『自己催眠術』の本に、平井富雄さんは東京大学講師で東大病院の精神科に勤めている紹介が載っていた。ということは、東大病院に行けば、平井富雄さんに会えるかもしれないと考えた。当時、南品川のアパートに住んでいたので、御茶ノ水にある東大病院へはすぐに行ける。
でも、1つ大きな問題が立ちはだかる!
それは『自己催眠術』の初版が1967年! その時は1987年。本が出版されてから20年も経っている…。
もう平井富雄さんは東大病院にはお見えにならない可能性が高そう…。
でも、東大病院に行って、平井富雄さんのことを聞いてみないと判らないよなと考え、直接、東大病院に出向き、聞いてみようと。ドキドキするけど、そんなこと言ってられない!
御茶ノ水に向かう電車では、相変わらずドア付近に立ち、もし気分が悪くなったら、最寄りの駅ですぐに降りられる態勢を整えながら。
御茶ノ水駅を降り、東大病院に向かう。快晴! 心地よい気候!
東大病院に向かうとき、不安が起きてくる。吐くことではなく、仮に平井富雄さんと会えたとしても、吐くことが怖いという患者さんを扱ったことはあるんだろうか? そもそも自分のように吐くことが怖くて、人と外食すらできない人なんてこの世に居るものなんだろうか?
吐くことが怖くて、身体に異変が起きてしまう人なんて聞いたこともないし、自分以外にそれで苦しんでいる人なんて居ないんじゃない…。
そんな不安を感じながら、東大病院の門の前に着いてしまった。
「(どうする)」
「(何とかしたいんだろ!)」
「(吐くことが怖い人なんて居ないよね?)」
「(聞いてみると決断したはずだろ!)」
心の中で、二人の自分がケンカする。
門の前で、足が止まる。自分自身で葛藤する。
「(本を出して20年も経っているから、平井さん、もうここにはいないだろう…。だいたい、吐くことが怖いなんて、そんなことで悩んでいるのは自分だけだよな…)」
病院の門から足が離れていく。そして御茶ノ水駅に向かい始める。
「(平井さん、もうここにはいないだろうし、違う先生を紹介してもらったとしても、吐くことが怖い人なんて居ないだろうから、治せないんじゃない…)」
言い訳をしながら、アパートに戻ってしまう。
布団に潜り、
「(オマエ、本当に何とかしたいのか!)」と自分を責め続ける。
そして、2週間ほど行った自己催眠術の訓練を止めてしまう。
「(吐くことが怖いなんて、情けないな…)」
何も変わらないまま、大学4年を迎える。
いよいよ就職して、社会人…。
本当に、ヤバいよな…。
社会人になると、付き合いで飲みに誘われたり、食事に誘われたりするよな…。昼休みは会社の食堂か外食だよな…。出張もあるし…。
社会人になると食事の機会が増えるのは間違いないし、簡単には「用がありますから、行けないんですけど…」と言い訳できないよな…。
そう考えるだけで気分はブルー。
社会人になりたくない!
何とかならないか!
どうする!
そんなことばかり考える日々。
次回は、「恐怖症を考えた就職先…、私がとったあり得ない選定方法」についてお話しします。