
人と比べるのをやめて、自分らしく、そして幸せに生きたいと思われるあなたに、次の昔話しをお贈りします。
***************
昔々、静かな森の中に、「リー」という一羽のウグイスが住んでいました。リーの声は、とてもクリアで美しく、森中の仲間たちのココロを癒していました。
しかし、リーは、ある悩みを抱えていました。自分と他の鳥を比べては、
「カワセミの羽はなんて美しいのかしら」
「フクロウの知恵には かなわないわ」
「ヒヨドリの声はとてもキレイだわ」
他の鳥よりも自分が劣っていると感じていました。
ある日のこと、リーは大きな湖のほとりで、見知らぬ鳥に出会いました。その鳥は、ボロボロの羽をまとい、羽の色も地味で、これといった特徴がない鳥に見えました。
リーは、その鳥に話しかけました。
「初めまして。こんにちは。あなたはここに何をしに来たのですか?」
その鳥は静かに答えました。
「私は旅をしています。あなたの歌声があまりにも魅力的で、美しかったので、今、立ち止まり、その歌声に聴き惚れていました」
リーは、とても恥ずかしくなりました。
「そんなことないわ。他の鳥たちの方が、私より立派で、きれいだわ。私は何も取り柄のない鳥なのよ」
見知らぬ鳥は、優しく微笑みました。
「そうかな? 私はそう思わないよ。私は多くの森を旅してきたけれど、あなたのような美しい声と出逢ったことは一度もないですよ。誰もが、他とは違う何か特別なものを持っているものです。あなたが、それに気づいていないだけだと思うけどな・・・」
その言葉に、リーはハッとしました。
「特別なもの? 私にもあるの?」
「もちろんだよ。あなたのその歌声がそうだよ。他と比べるのではなく、自分の中にある特別なものを大切にしてごらん。それが本当のあなたの特別な力なんだから」
その話を聞いたリーは、他の鳥たちと自分を比べるのをやめようと決めました。そして、自分の思うまま、毎日、精一杯歌い続けました。
すると、森の動物たちが、次々とリーの元に集まってくるようになり、リーの歌声に耳を傾けるようになりました。リーの歌声は、動物たちの疲れたココロを癒すだけでなく、勇気や励ましをも与える力を持っていたのです。
他と比べることをやめ、与えられた自分の才能を伸ばし、自分らしく生きることに目覚めたリーのおかげで、森の仲間たちも、自分が与えられた才能に気づき、才能を伸ばすようになり、より楽しく、幸せな毎日を過ごしていきました。
おしまい
***************
私たちは、他人の目、他人の評価、他人の華やかな部分を比べて、自分は劣っていると考えてしまう傾向があります。しかし、それは『生存欲求』に関わることなので、いたしかたないかと思います。
でも、他人と自分を比べて、自分で優劣を決めることで、本当に幸せになれるでしょうか?
そんなことに目を向けるより、ありのままの自分に目を向けてみましょう。あなたにも、他人には持ち合わせていない『特別な力』がありますから。それに目を向け、その力を磨いていきましょう。
それこそ、幸せに生きていくために一番大切なことだと私は思います。
今回は以上です。