不安症、恐怖症、うつ病、強迫観念、悪夢・・・、子どもの頃から、それらに悩まされていたキャサリンという、ある病院で検査技師をしている女性がいました。キャサリンは、さらに、薬を飲むと息が詰まってしまうんじゃないかという強い恐れも持っていため、薬を拒否していました。
同じ病院には、ブライアン・ワイスという高学歴で、優秀な精神科医も働いていました。ワイス医師は、コチコチ頭の典型的な左脳派人間で、論理的で、かつ科学的なことしか信用せず、瞑想や輪廻転生などの非科学的な分野をバカにしていたそうです。さらには、精神医学の知識や経験もとても豊富だったため、自分でも優秀な医師だと自負していたくらいです。
あるとき、ワイス医師は、キャサリンを診ることになったのですが、1年以上、従来の精神療法を行ったものの症状は良くなるどころか、悪化していきました。行き詰ったワイス医師は、悩み、考えました。「おそらく、彼女の潜在意識の深いところに幼い頃の隠されたトラウマがあるに違いない」
そうして、催眠療法の1つである『年齢退行催眠』を行いました。
『年齢退行催眠』という方法は、深い催眠状態に入り、心身をリラックスさせ、潜在意識の深い部分にアクセスすることで、忘れていた記憶が蘇ってくるという方法です。そして、過去のトラウマとなった出来事の記憶を呼び起こし、その出来事を再体験させ、その体験による気づきや学びを悟ることで、恐怖症、パニック症などの症状から解放されていく方法(浄化と統合)です。『インナーチャイルド』とも言われます。
ところが、キャサリンは、年齢退行催眠をして、トラウマになったと思われる出来事をいくつか思い出しても、症状は一向に良くなりません。ワイス医師は、キャサリンが、これまでに話したとは違うトラウマになった幼い頃の出来事があるはずだと考え『年齢退行催眠』を続けました。キャサリンを催眠誘導して、年齢を退行させようとしましたが、
あるセッションで、うっかり、具体的な指示をせず、大雑把な指示を出してしまいました。
「今の症状の原因となった時期まで戻りなさい」
キャサリンは、幼少期に戻るどころか、それを通り越して、四千年も前の、中近東の時期に戻ったのでした。その当時のキャサリンは、別の顔、名前で、中近東に住んでいていました。そして、その人生で何が起こったのか?までもとても詳しく思い出し、ワイス医師に話しました。
その人生の最後は、津波に襲われ、自分の赤ん坊が、津波にさらわれた上、自分も溺れて死んだという人生でした。その人生の回顧が終わった後、キャサリンを催眠状態から解き、覚醒状態に戻しました。
その日、行った『年齢退行催眠』で、キャサリンは別の2つの過去世について思い出すこともできました。18世紀のスペインで売春婦だった過去やギリシャ人女性だったときのものでした。
それからも、キャサリンに対して毎週『年齢退行催眠』を続けたところ、次第に、不思議なことが起こり始めました。キャサリンが、過去世を思い出す度に、以前は手に負えなかった症状が、急激に消えていったのです。
非科学的なことを完全にバカにしていたワイス医師は、自分の目の前で起きているこの事実に混乱を覚えます。
さらに、キャサリンは、『年齢退行催眠』を続ける内に、霊界にいる精霊(マスター)たちとチャネリングできるようになります。マスターたちは、催眠状態に入っているキャサリンを通じて、ワイス医師にいろいろなメッセージを与えます。
例えば
- 霊魂の状態が“普通の状態”であること
- 肉体の中にいることが異例なこと
- 肉体を持つ理由は、必要な学びを得るためには、痛みが必要。霊魂の状態では安らぎや幸福感の感覚しかないため、肉体を持って痛みやキズを負わないと必要な学びが得られない
- 命には終わりがない、人は死なない。いくつもの場面を通り過ぎ、学びを得ていくもの。
などなど。
これまでの話しは、邦題『前世療法』というワイス博士が執筆した本の要約です。
キャサリンは、『過去世退行催眠(前世療法)』によって、幼い頃から悩んでいた恐怖症、不安症、恐怖症、うつ病、強迫観念、悪夢から、2,3ヵ月ですっかり回復したとのことです。
また、ワイス博士もキャサリンとの出来事は、今を持っても科学的には説明できないと言っています。
しかし、
ワイス博士は、キャサリンとの出来事を通じて、人生が大きく変わるのです。他人との競争をすることがなくなり、背伸びすることなく、自然体の自分で生活できるようになったとのことです。
さらに、
人との交流も以前より、正直で緊密になったと言っています。
『前世』というものがあるか、ないかは、もちろん私にも判りません。証明もできません。前世があるとか、ないとかの議論はどうでもいいかと私は思います。
しかし、夢を見た時、知らない地域や風景の中に自分が居たり、旅行で、初めて行った地域なのに、以前、来たことがあるような感覚を覚えたりしたことはありませんか?
- どうして、その地域の夢を見たり、その地域に行きたくなったのでしょうか?
- どうして、その景色が潜在意識の中に現れたんでしょうか?
私が『年齢退行催眠』を受けた際、なぜか、アメリカのインディアンの女の子のイメージが潜在意識から現れました。モニュメントバレーのような赤土で、広大な大自然が広がる地域で生まれ、穏やかな仲間と穏やかな人生を送ったというイメージでした。
30年前の1992年、私はアメリカに憧れ、会社を辞め、渡米しました。なぜ、イギリス、オーストラリア、中国、インド、エジプトではなく、アメリカの地に立ったのでしょうか? しかも、ワイオミング州ロックスプリングスというロッキー山脈にある人口1万人ほどしかいない広大な大自然に囲まれた街を選びました。
学生時代、東京に住んでいましたが、当時、恐怖症で苦しんだことも要因だったかもしれませんが、空間が狭く、人も多いため、とても息苦しい毎日でした。しかし、東京いたからこそ、素晴らしいカウンセラー、一生の財産となっているヒプノセラピーと出会え、恐怖症を克服することができたという幸運に恵まれたのです。
不思議な話し、流れですよね。
以上です。